わたしの生家は、裕福ではなかったけど、特に激に貧しいというわけではなかったと思う。
でも、祖母も父母も、いわゆる見栄っ張りだったから(苦笑
毎年、この季節が来るとわたしは口の中が苦くなる。
そう、思い出すのだ。
親戚、いとこが集まる夏休み。
父方のいとことのつきあい方と、母方のいとことの付き合い方は微妙に違っていた。
それは教えられずとも、幼いながらに肌で感じて悟っていた。
父は長男だったので、我が家に父の妹2人が子供を連れて帰省して来る。
彼らが来ると、お寿司をとった。
でも同じテーブルでそれを囲むことはなく、
彼らに出した残りをわたしたちいつものお膳に祖母が持ってきた。
「早く食べちゃいなさい」
わたしは、箸をつけることができなかった。
祖母や父母に見栄があるように、わたしにもプライドはあった。
残飯処理のような感じがして、それを促す祖母の神経もその時は疑った。
単に
いつもは食べられないいいネタのお寿司だし、
時間がたつといたむから、早く頂いちゃいなさい、という意味なんだろう。
わたしは、「食」というものに関して今、ひどく貪欲である。
スーパーに買い物に行って、あれもこれもとカゴ一杯に買いこんでしまう。
いつも後悔する。
でも・・・
冷蔵庫に食べ物が一杯に満たされていないと
心が空虚な気分になってしまって、落ち着かないのである・・・。
「足りる」ということを知りたい。
一時は金利のつくお金を借金してまで、食費に当ててしまっていた時期がある。
これはもう15年近くも前のことになるが。
この夏休みの時期、
わたしはいつも憂鬱になる。